塗装とカーラッピング それぞれのメリット・デメリットを徹底解説

近年、車のボディカラーを変えることができると、高級車オーナーから注目を浴びている「カーラッピング」ですが、一体どのようなものなのでしょうか?
これまでボディカラーを変えるためには塗装する必要がありましたが、塗装とカーラッピングの違いとは?また、それぞれのメリット、デメリットにはどのようものがあるのかを解説していきましょう。

カーラッピングとは

塗装とカーラッピング それぞれのメリット・デメリットを徹底解説

まずは「カーラッピング」とは一体何なのか説明していきましょう。

カーラッピングとは車専用のフィルムを貼ることで、車全体であったり、部分的なパーツのカラーチェンジを行うカーカスタムの手法のことです。
また、剥がして元の色に戻すことができるため、手軽にカラーチェンジを楽しむことができるものだと話題となりました。

では、カーラッピングにはどのようなメリット、デメリットがあるのか例を挙げていきます。

カーラッピングのメリットって何?

  1. 剥がせば元通りになる 剥がせば元通りになる 新車時にカーラッピングを施工したならば、数年後、フィルムを剥がした際の塗装面は新車と同じという事です。すなわち、車の資産価値を落とすことなく自分好みのカラーを楽しむことが可能なのです。
    「元に戻せる」これこそが塗装とは違う最大のメリットです。
  2. 自分好みにイメージチェンジ 自分好みにイメージチェンジ 市場に流通しているラッピングフィルムメーカーは数社あります。
    そのなかでも、[3M]、[AVERY DENNISON]、[ORAFOL]、[HEXIS]、[TECK WRAP]などが有名どころであり、それぞれのメーカーごとに、艶感の違う、グロス(艶あり)、マット(艶消し)、サテン(半艶)フィルムや、メタリックやパールなど色味の違うフィルムがあるので、選べるフィルムは数百種類にも及びます。
    その豊富なラインナップの中から自分好みのフィルムを選び、あなただけのオンリーワンの車に仕立て上げることができるのです。
  3. 塗装ではできない表現ができる 塗装ではできない表現ができる カーラッピングフィルムの中には、カーボン調、ヘアライン調などのテクスチャーフィルムの他、インクジェットフィルムというオリジナルのデザインを印刷できるフィルムもあるので、塗装では真似できないカーラッピング独自の表現も可能です。
  4. ボディ汚れから守れる ボディ汚れから守れる 物理的にフィルムで覆っていますので、汚れから塗装を守ることができ、車の資産価値を維持することに繋がります。
    その一方で、ボディを傷から守ることが目的で作られたプロテクションフィルムと比べると傷に対する保護性能は劣るので、飛び石などに対しての保護は限定的ともいえるでしょう。

意外と知らないカーラッピングのデメリット

  1. 塗装が剥がれることも
    剥がせることが最大のメリットである事は説明しましたが、実はリスクもあります。
    それは、フィルムを剥がす際に塗装ごと剥がれてしまう恐れがある事です。
    新車の塗装であっても、ボンネットの裏やフェンダーの爪(耳)などはクリアー塗装が薄く剥がれ易い個所です。元々塗装の密着が悪い樹脂パーツ(バンパーなど)も注意が必要な個所となります。
    また、経年劣化した塗装であったり、再塗装されたパーツであっても下地の足付け不良や、塗料の質が悪かったりすると塗装の剥がれる要因となります。
    綺麗に剝がせることが最大のメリットであるカーラッピングですが、そのメリットを発揮できないのは悩みどころとなります。
  2. 耐久年数は短い
    カーラッピングフィルムの耐久年数は環境にもよりますが一般的に1~3年です。水平面(ボンネットやルーフ)で1~2年、垂直面(フェンダーやドアなど)で3年程度です。
    フィルムの種類でも差があり、艶消しフィルムやテクスチャーフィルムでは耐久年数が短くなります。
    フィルムに付いてしまった傷は磨いて直すことはできないので日々増えていきます。直射日光による紫外線の影響や、汚れの蓄積などによりフィルムの耐久性が低下していきますので、屋根下保管やこまめな洗車を心がけてください。
  3. フィルムの剥がれ、浮き、縮み
    剥がせることができるフィルムは言い換えれば剥がれることもあるという事です。
    フィルムの端部やブレスラインの溝は経年などで剥がれや浮きが発生することがあります。また施工は手作業であるため施工不良が原因であることもあるでしょう。ですのでショップ選びは慎重に行いたいところです。
  4. 費用が高額なケースも
    カーラッピングにハイクオリティを求めるあまり、塗装と見分けがつかないほどの仕上がりを求めてしまうことがあります。その際、特に気になるのがパーツの隙間(バンパーとフェンダーの間など)から見える元のボディ色です。白い車に黒いフィルムを施工するシチュエーションでは特に気になってしまう点かと思われます。
    通常はなるべく元色が見えないよう施工技術でカバーしていくのですが、パーツの形状によっては脱着作業を伴うことがあります。作業工数が増えるだけでなく、パーツの破損リスクもある為、おのずと施工費用が高額になってしまいます。
    施工内容をきちんと打合せすることにより費用を抑えられることもあるでしょう。

塗装のメリット

  1. 耐久性がすごい 耐久性がすごい 塗装は長期的に耐久性、耐候性に優れています。
    使用する塗料や環境条件などにもよりますが、一般的に5~10年ほどです。 新車時には3年間保証も付きます。
    きちんと下地処理された塗装であれば剥がれてくることもそうありません。
  2. どんな色でも自由自在 どんな色でも自由自在 様々な塗料を混ぜ合わせることで作れる色は無限大です。純正カラーはもちろん世界に一つだけのカラーを作ることも可能です。事故で塗装が必要になった際も、調色をすることで、経年劣化で退色した色に合わせることもできます。
  3. 状態の維持 状態の維持 洗車による擦り傷や雨染みなどの汚れは磨くことで綺麗にすることができます。
    当然、塗膜の厚みにも限りがあるので磨ける回数にも限界があります。

塗装のデメリット

  1. 価値が下がる
    自動車メーカーが製造工程で行う塗装は非常に高品質です。それに対し鈑金塗装工場などで行う塗装では、自動車メーカーの塗装技術を上回ることは難しいでしょう。
    そのため経年による色褪せや剥がれなどの劣化が早期に現れることもあるでしょう。
    その品質の差が売却する際のマイナス要因となってしまいます。

    純正に無いカラーに塗ってしまうと、万人受けするとは限りません。
    そのため買取業者は査定額を低く抑える傾向にあります。場合によっては値が付かないこともあるでしょう。
  2. 元に戻せない
    一度塗ってしまった塗装は簡単に剥がしたりできません。元に戻したいと思ったら再度塗装しなおす必要があります。

まとめ

比較されることの多いカーラッピングと塗装ですが、それぞれ目的や用途が違います。ご自身が何を求めているのかを明確にし、それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで選択していく必要があるのではないでしょうか。